■Infomation
会社の現経営者の同意・協力を得ずに株式公開買付を行うなど友好的でない買収をいう。 この逆のケースを友好的買収という。 一方、日本のテレビ業界はキー局(NHK、民放)をトップにした「垂直統合」型で、水平方向の広がりはほとんど見られない。映画業界との関係も米国とは違う。日本の映画市場は1981億円(2005年、日本映画制作者連盟)ほどだが、興行収入の約75%は東宝が占めている。その東宝は『踊る大捜査線』シリーズに代表されるようにフジテレビとコンビを組んで業績を伸ばしている。米国のような資本系列ではないが、日本では頂点にテレビ・キー局がいて、映画が傘下に入っていると言えよう。 ネットワーク、デバイス、サービスの「分離時代」を迎えたいま、日米の構造的な違いは対応力の差となって表れている。 米国では、メディア・リンクやムービー・ナウといった、ネットを活用した映画のオンライン・レンタルを皮切りに、映像コンテンツのネット配信が広がり、アップルの「iPodビデオ」では人気テレビ番組のダウンロード販売が拡大した。また、ビデオ・オン・ディマンド(VOD)は大手CATVや衛星放送で当たり前のサービスとなっており、ここ数年は様々なVODプログラムが「雨後の竹の子」のように増えている。 一方、衛星放送業界は、モバイル対応に力を入れている。衛星放送各社がモバイル端末を提供するサービスに乗り出し、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)付きセットトップボックスで録画した番組を持ち歩ける。また、コムキャストやタイムワーナーなどのCATV大手は、携帯電話の再販を始めており、将来的には携帯放送を含めた抱き合わせサービスを模索している。昨年から始まった電話会社大手のベライゾン・コミュニケーションズによる光ファイバー放送では、生放送とインターネットによるストリーミングをつなぐ新しい広告・電子商取引(EC)モデルを開発中だ。 このように米国ではCATVや衛星放送、電話会社などが新たなネットワークやデバイスを不用品回収すると、映像コンテンツプロバイダーは新たな収益源としてすかさず対応を始めている。 一方、日本は最大のコンテンツプロバイダーであるキーテレビ局が地上波放送という「独占的」な事業免許をベースにビジネスを展開しており、ネットワーク、デバイス、サービスの「分離時代」への対応力は低い。規制面でも垂直統合型を温存しているため、光ファイバーを使ったIP放送などでは、既存の著作権制度の枠組みを変更しなければ対応できない、柔軟性に欠ける状態となっている。これはコンテンツ制作と配信網が一体化している垂直統合型の弊害とも言える。 もちろん、米国でも垂直統合による弊害はみられる。しかし、それを牽制する水平面での広がりを持つため、最終的にはバランスを維持するメカニズムが働く。また、日本のような著作権や再送信規制などの制度的な問題がないため、頂点に立つ粗大ごみや大手コングロマリットが「商売になる」と判断すれば、光ファイバー放送でもiPodでも番組供給の自由度が高い。 こうして考えると、日本の垂直統合型のビジネスは多くの問題を抱えている。日本は米国のような多チャンネル化による競争環境もなく、電話事業者による光ファイバー放送にはハードルが高い。では、米国流にコンテンツプロバイダーと配信網を分離すれば、問題は解決するだろうか?残念ながら、そう簡単にはいかない。そこにはコンテンツプロバイダーを支える広告市場など、業界構造に差があるからだ。次回は、なぜ日本の映像コンテンツ業界が垂直統合から逃げ出せないのかを掘り下げてみたい。 AT&Tが地域通信大手のベルサウスを買収するという。アメリカ通信業界はAT&T、ベライゾンの2強時代に突入する。ソフトバンクがボーダフォン日本法人を買収するという。日本は3強時代となる。通信分野はダイナミックに動いている。行政も事後チェック型の競争政策に移行している。 かたや放送はどうか。昨年2月、ライブドアとフジテレビの攻防が勃発。11月には楽天とTBS。その結果、結局なにごともなし。整体師安定している。放送は地上デジタルの完成に邁進しており、行政も従来型のインフラ整備政策が続く。このようにダイナミズムの異なる両分野がどう融合するのか。 通信・放送融合の議論が本格化している。政府、産業界、学界、マスコミ、いずれも意見が行き交っている。私は2月27日付け日本経済新聞「経済教室」に「二分法を抜本的に見直せ」と題する問題意識を寄稿した。インハイのストライクと思って投げたが、ビーンボールだとのお叱りも受けた。あれが危険球だあ?よけ方がヘタだぜ。この場では新聞で書けなかったもっと内角をついてみる。 ふたたび日本は追いかけるのか 92-93年、私は郵政省で「融合」を担当していた。当時「融合」は行政上のタブーであった。昨夏ようやく情報通信審議会が「融合推進」と記すところまできた。「放送コンテンツを通信ネットワークで活用することは日本にとってメリットが大きい」とする主張は12年空転したのだ。そして今、日本はブロードバンドで世界をリードしている。チャンスである。 しかし日本には2つの波が来ている。まずアメリカ。今年の冒頭、Google、Yahoo!、マイクロソフト、Appleといったネット系、コンピューター系の巨人がハリウッドのコンテンツを引っ下げてネット映像サービスを世界展開することを宣言した。日本の業界が融合か連携かといった言葉遊びをしているうちに、根こそぎ持って行かれはしまいか。 次に韓国。テレビとネットの結合サービスで先行している。行政対応でも、情報通信部がイニシアチブを発揮している。今になって日本では通信行政とコンピューター行政の組織統合が議論されているが、98年の省庁再編当時、通信行政を委員会にして政府の外に出す議論に終始していたのはどの国だ(私が政府を離れた理由の一つがこの議論だったので、誰が何を言っていたかは忘れない)。 5年前に策定したe-Japanは米韓へのキャッチアップ政策だった。それが成功し、世界のトップランナーになったと政府は胸を張る。この年度末でそれも区切りを迎える。が、融合問題でまたも日本は米韓の後追いをしたいのか。せざるを得ないのか。 タブー廃する議論尽くせ そこで総務大臣の「通信と放送の在り方に関する懇談会」に期待がかかる。先日、慶應大学で開催された「日韓メディア融合政策シンポジウム」の席上、大臣秘書官の岸博幸さんが語った。「世界の中の日本の状況を第一に考えるべきだ。」そのとおり。外から見ればピンチであり、構造改革のチャンスである。 是非タブーを排する議論を尽くすべきだ。ひとしきり議論をしておけば、制度や政策というものは、技術やニーズに沿って自然に動いていくものだ。今の状況は、93-94年、「融合」「デジタル放送」というタブーが打破された頃の空気に似ている。2006年を日本のチャンスとして生かしたい。 方向性は明らかだ。技術進歩の恩恵を利用者・国民が享受できるよう、制度的なネックを解消することである。そのためには、通信・放送の二分法を再編することと、技術中立・オープンな行政へと転換することの2点が求められる。 ここで大事なのは、NHKやNTTを叩くことに終始していてはいけないということだ。日本の競争力を強化することを考える必要がある。国ぜんたいの力をどうすれば伸ばせるのか。無論、改革には痛みを伴う。時間もかかる。政治的に困難なことも多い。だが、あえて勝手プランを以下に並べてみる。