■Infomation
ビジネス構造を再構築することを意味し、企業の経営成果が目標を大幅に下回る場合、経営者は再活性化のため、不採算事業からの撤退や売却、不採算事業部の分離あるいは統合・整理を行う。 一方、将来の企業ビジョンを実現するのに必要な機能・事業をM&Aによる買収や業務提携で獲得するなどもリストラの概念の中には含まれる。 米衛星放送で挫折したニューズ ニューズといえば、米国では二十世紀フォックス、ナショナルジオグラフィックなどを抱える放送系コングロマリットとして知られている。近年は米国での事業多角化を目指してきた。 たとえば2003年後半、同社は衛星放送トップのディレクTVを買収し、米国の衛星放送ビジネスに参入している。当時、ニューズは欧州での衛星放送事業が好調だった。また、米国でも低価格・多チャンネルを背景にディレクTVとエコスターの2社が急成長を続けていた。ディレクTVの買収は規制機関の説得も含め紛糾が1年以上も続いた末に成立した。ニューズが衛星放送を世界戦略の柱に据えていたからだ。 ところが3年も経たない今年、食事制限はリバティメディアと株式交換を行いディレクTVを手放した。これは「リバティが仕掛けていたニューズ買収から逃れるため」「CATV大手がトリプルプレーを軸に攻勢を強め、急成長を続けてきた衛星放送の新規加入者が鈍化したため」という理由もあるのだが、マイスペースの成功がなければ、米衛星放送からの撤退はなかっただろうと言われている。 マイスペースとニューズの出会い マイスペースのベータ版日本語ページ 2004年前後、米国のネットビジネス分野では大手メディアが守りから攻めへの転換期を迎えていた。検索連動型広告の急成長を背景に、ネットビジネスの復活基調が明確になってきたからだ。タイムワーナーは、この頃から広告収入を軸とするAOLの無料化を準備している。また、マイクロソフトは独自の検索エンジンを軸にネットをベースとしたグーグル型のサービスへと舵を切った。 同じように、フォックス・インタラクティブなどを持つニューズもネットビジネスのテコ入れを検討していた。当初は、フォックスのブランド力を生かした独自ポータルの構築を検討したが、ヤフーやグーグルといった先行グループとの差は大きく、リスクが高いという批判も大きかった。 そうした時期、米国では「orkut」や「Eurekster」など様々なSNSが生まれており、なかでも2004年1月18日に開設されたマイスペースは若年層(12才―17才)からの人気を得て、急速に加入者数を増やしていた。とはいえ、ニューズが急成長するマイスペースと出会うのは2005年に入ってからだ。 2005年は、米国のネットベンチャー分野でM&A(企業の合併・買収)ブームが始まった時期だった。同年1月から9月までで前年の2倍を超える265億ドルの買収があり、最大手のヤフーがカナダや中国でM&Aを展開する一方、IAC/InteractiveCorpなどの中堅は米国内の中小サイトを買いあさっている。ニューズも8月に地域スポーツ情報を扱うScoutMediaを、9月にはネットゲームのIGNEntertainment社を買収するなど、M&A競争の波に乗って動いている。 そうした一連の買収の中にIntermixMedia(5億8000万ドル)があった。同社は約30種類の様々な塗装工事を運営しており、そのひとつがマイスペースだった。こうした経緯を見ると、ニューズはマイスペースに期待感を持っていたとはいえ、初めからポータルに育てる目的で買ったわけではなく、たまたまM&A競争の渦中で手に入れたといえる。しかし、ニューズはマイスペースの可能性を確認するや、ビデオ共有など一連のサービス拡充を進めるとともに、ポータル戦略の柱に据えてゆく。 マイスペースは当初12―17才前後に大きな人気を得て成長した。しかし、最近は成人層(18才―55才)の加入に力を入れる一方、ネットの健全利用を促す一連のキャンペーンを繰り返すなど、大きな転換期を迎えている。 現在、マイスペースはメンバーを装ったアダルトサイトへの誘導やスパムメッセージの配布、女性メンバーを狙う勧誘の温床として大きな批判を浴びている。ベライゾン・コミュニケーションやスターウッド・ホテルなどがイメージの悪化を嫌って広告スポンサーから降りる一方、コネチカット州検察局が事態改善に動き出すなど、マイスペースは厳しい対応を迫られている。また、メンバーの増加にともない、スパム問題も深刻化している。同サイトのメンバー招待機能を対象にするスパムメーラーはネット上で簡単に入手でき、被害は拡大している。 こうしたことから、ニューズはマイスペースをブロックするツール(無料配布)の年齢制限を14才から16才に引き上げる一方、若年層に偏りすぎたメンバーの構成改善を進めている。実際、メンバー構成では、過去1年ほどの間に12才から24才までが減少傾向になり、逆に25才以上が増加している(comSore調べ)。これは加入メンバーが成長していることもあるが、広い年齢層にアピールできるポータルを目指して、ニューズが成人層の勧誘に力を入れているためだ。 また、最近はNCMEC(NationalCenterforMissingandExploitedChildren)と予備校し、若年者を対象とするオンライン健全化キャンペーンを始めた。これはマイスペースにとどまらず、フォックス・テレビおよび系列チャンネルなど、ニューズ・グループ全体を巻き込んだ大がかりなもので、その規模からみてもマイスペースの若年層問題がいかに深刻であるかが伺える。 一方、不正コピーによる著作権侵害も最近は大きな問題となっている。11月から著作権侵害コンテンツの検知システムの導入を進める一方、合法的なコピー利用のための環境作りも模索している。 広告収入拡大を狙うニューズとしては、こうした問題を解決しマイスペースの健全化を進めることが、同社ポータル戦略の重要な課題と見ている。なお、今回の日本上陸に際しても、実験サイトの目立つ位置に日本語で利用の注意を呼びかけるなど、ユーザー利用規約への配慮が伺えた。 ヤフー型コミュニティー・ポータル目指す ではニューズは、マイスペースをどのようなポータルに仕立てようとしているのだろうか。現在、NBCやABCなど大手テレビ局は、インターネットでの有料・無料配信を拡大している。しかし、フォックスはヤフーやグーグルなどのポータル向けコンテンツ供給に消極的で、静観状況にある。これは自社ポータルであるマイスペースへの配慮とともに、ヤフーへの対抗姿勢と見られている。 巨大なコミュニティーを抱えるヤフーは、ハリウッドを中心に映像コンテンツの充実(自前調達を含む)を進めている。一方、グーグルはコンテンツの充実を進めているが、コミュニティー力では、ヤフーの後塵を拝している。メディア・コングロマリットとしてのニューズは、マイスペースを使ったコミュニティー型ポータルを形成しようとしており、こうした状況からヤフーを競争相手とする一方、グーグルとは広告配信契約などで緩やかな連携体制を構築しようとしている。最近、狙っていたユーチューブをグーグルが先に買収したため、ニューズがグーグルに大きな批判を浴びせた事件は、こうしたニューズの思惑に反した動きだったからだ。