■Infomation
直訳では“白馬の騎士”となるが、買収をかけられた会社の経営陣が、敵対的で自分たちを追い出すおそれのある買収者よりも、より自分たちに有利な条件で買収してもらいたいとき、友好的な買収又は合併をする会社をという。 米国はディズニーによるABC買収や、メディア王ルパート・マードック率いる米ニューズ・コーポレーションによるFoxTVの設立に代表されるように、参入や資本参加における自由度が高い。英国は地上テレビ放送への外資規制を撤廃した。諸外国においては衛星放送やケーブルテレビなどの新しいメディアのみならず、地上テレビ放送においても経済的規制の緩和が進む国が少なくないのだ。日本の放送局を巡るM&A騒動は、日本の放送業界における規制緩和の是非、さらには異業種による市場参入と市場再編の可能性を巡る問題を提示したといえよう。 ネット企業とテレビ局、歩み寄りはあるか 次に融合時代のビジネスモデルに関する論点について考えてみよう。ネット企業とテレビ局の融合は、理屈の上では事業展開の幅が広がり、シナジー効果が発揮されることになるが、実際はどうだろうか? 米国では2001年に大手ISP(インターネット接続事業者)のAOLと老舗デザイン会社企業の旧タイムワーナーが合併。AOLはネットビジネスのノウハウとサービス加入顧客を、旧タイムワーナーはコンテンツ(映画)と伝送路(ケーブルテレビ、テレビ局)を持ち寄ることで、次世代のメディア企業への飛躍を目指したが、今となっては合併に対する否定的な評価が大勢である。 かつて放送が新たなビジネスモデルを構築することで通信から分離した経緯を考えれば、ほかの融合現象(伝送路、サービス、端末レベル)に比べ、事業体の融合が最も困難であることは想像に難くない。ただし、通信・放送の融合は現在進行形の現象であり、AOLとタイムワーナーのような合併が将来的にも有効性を持たないことを必ずしも意味するわけではない。 通信市場の自由化によって伝送路の融合が進展し、看護師 求人や端末も融合しつつある。事業領域の融合が進めば、ビジネスモデルが接近し、事業体の融合が加速する可能性も十分考えられるのだ。 日本のケースでは、M&A自体が双方のメリットを検討する形で進められなかったため、タイムワーナーのケース以上に困難な状況になってしまった。しかし一連の騒動以後、収益性の低さなどの理由からネットビジネスにあれほど慎重だったテレビ局が、映像番組のネット配信を次々と始めたことは特筆に値する。 日本においてネットと放送の事業体の融合を巡る議論は始まったばかり。ネット企業と放送局が互いに新領域へ進出し、新たなビジネスモデルを模索して初めて、事業体の融合におけるメリットの検討が始まるのだ。 「通信・放送の融合」をめぐる議論において、NHKと並んで俎上(そじょう)に上げられたのがNTTである。通信事業者の組織再編という業界の競争政策の側面が濃い問題が焦点となっているのは、既存通信事業者が保有するネットワークへの 家庭教師問題が融合サービスの進展に大きな影響を与えるためである。 その中でも、特に投資負担の大きい交換局から加入者宅までの加入者回線(ラストマイル)の敷設と運用は、各国ともに旧国営を含む既存通信事業者が優位な位置を占めている。国内外を問わず、新興通信事業者にとって加入者回線の開放とアクセス条件の平等性の獲得は事業展開を行ううえでの重要な要素の一つとなっている。 北米では、1990年代後半のITバブル期に、数多くの新興通信事業者が自社によるネットワークの敷設と法人向けデータ通信をビジネスの主軸に積極投資を行ったが、その多くは テレマーケティングしている。当時の主要プレーヤーの中で現在に至るまで比較的安定した経営を維持しているのは、旧ベル系地域通信事業者のUSWestを買収したクエストぐらいである。 家庭への光ファイバーは急速に普及 その一方、反トラスト訴訟により、1984年にAT&Tから分離された7つのベル系地域通信事業者は度重なるM&Aの後、最終的にはSBC(現AT&T、2005年にAT&Tを買収)とベライゾン(2005年に長距離通信事業者のMCIを買収)の2強体制へと移行した。両社は地域通信市場のみならず、米国の通信市場全体で突出した存在へと成長し、加入者回線を保有する既存地域通信事業者の強さを改めて認識させる結果となった。 欧州に目を転じてみると、英国のBT、フランスのフランステレコム、ドイツのドイツテレコムなど、米国以上に既存通信事業者の存在感が際立つが、英国では通信庁(Ofcom)による電気通信分野の戦略レビューに基づき、BTの卸売部門の一部が別組織化され、注目を集めている。今年1月に設立された新組織のOpenreachは、BTのブランド名の不使用や顧客情報の遮断など、BTグループ内での独立性を高めることで、競争事業者に対するアクセス条件の平等性の実現を目指すものである。 一方、ドイツでは、ドイツテレコムが敷設を進めている光ファイバー網の開放問題が、競争政策を推進するEUとの間の懸案事項として浮上した。それを契機にドイツ政府は今年5月、既存サービスと異なる新サービスは「新市場」として事前規制の対象外とする「電気通信法」改正案の閣議決定を行った。これは光ファイバー等の新事業領域に対する厳しい開放要件が課されることによる投資インセンティブの低下を避けるための措置である。 このようにネットワークの開放とアクセス条件をめぐる様々な議論が展開されているなか、新たな論点として浮上したのがIP化の進展である。回線交換機が通信ネットワークの集中管理を担う時代から、ネットワークがレイヤー化し、ルーターをはじめとする様々な関連機器がネットワークを分散的に管理するIP時代に移行しつつある現在、ネットワークの開放は通信市場の公正競争を実現するための特効薬ではなく、処方箋の一つに過ぎないという指摘も目立つ。 1999年に実施された現在の持ち株会社を中心とするNTTのグループ編成(地域通信:NTT東日本・NTT西日本、長距離通信:NTTコミュニケーションズ、移動体通信:NTTドコモといった分社化)は、事業分野別に組織を分離した米国のAT&Tの例に近いが、融合メディアの時代においては既に実情にそぐわなくなっているのは事実である。 今後、グループの再々編の実施が予想されるが、その際に加入者回線部門の分離に代表される市場競争の促進を重視したものとなるのか、M&Aを繰り返しながら規模の拡大を目指す各国の通信事業者に対抗するために国際競争力の強化を主眼に置いたグループの一体化を重視したものになるのかは、予断を許さない状況である。 マイスペースがいよいよ日本に上陸した。米国では大規模なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が多数あるが、マイスペースは2位のフェースブックの約3倍のビジター数を誇る、業界リーダーだ。欧州を基盤に世界的なメディア王国を築いてきたニューズ・コーポレーションは、マイスペースを軸にポータルサイトの確立を狙い、新たな世界戦略を描く。今回はニューズの動きを追いながら、マイスペース日本上陸を考えてみたい。(小池良次の米国IT事情)